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大橋家 日通との戦い
父は日通に追い詰められ、自らの命を絶ちました。これは父の名誉を晴らすため、日通の実態を明るみにし、次の犠牲者を出さないよう始めた、私達と日通との戦いを綴った日記です。10年2月15日に安全配慮義務違反を認定され、父の名誉を晴らす事ができました。これからは、労働問題で苦しんでいる人達と、今も日通と戦っている人達への支援を趣旨とし、運営をしていきたいと思います。
判決文の内容「争点に対する判断・争点(1)(本件発症前の被告の安全配慮義務違反)について」
「争点に対する判断・争点(1)(本件発症前の被告の安全配慮義務違反)について」

(3) インターフェロン治療のための入院に対する上司の不当な対応等

ア 原告らは,均がインターフェロン治療のために入院する旨告げたことに対する上司の対応が不当であった旨主張する。そして,前記認定事実によれば,仁は,インターフェロン治療のための入院を上司に報告した際に,「なぜ前勤務地で治療を受けずに,転勤直後に入院治療を受けるのか,職場で理解を得られない。」などと,転勤直後に入院治療を受けることを非 難するような発言をされたこと,退院後平成16年7月21日の復職のための面談時にも同様の発言が繰り返され,さらに,L次長からは,「治療 に専念した方がよいのではないか。自分から身を引いたらどうか」などと退職を示唆する発言がされたこと,これらの発言が,均に相当の精神的な衝撃を与え,不安症状を強めたことなどが認められる。

イ これに対し,被告は,入院前の上司らの対応は,異動に不満があるかどうかを確認するものであり,また退院後の面談時の発言は,上司の個人的な意見であるし,退職勧奨に当たるとしても違法なものではなく,うつ病罹患や自殺の予見可能性もない旨主張する。

 しかしながら,前記認定事実によれば,均は,平成16年4月1日の大阪空港支店への配転の相当以前から,C型慢性肝炎に罹患して治療を継続しており,被告の保健指導員の指導も受けていたのであって,被告においても均の病状等を把握した上で出向を決定していたものであるし,均は,出向先においても通院治療を続けており,その間にインターフェロン治療が検討されたこともあったことなどの治療経過等は,被告にとっても十分に把握可能であったと考えられる(乙10 )。これらによれば,均の株式会社Fから大阪空港支店への異動時に,均がC型慢性肝炎に罹患していることやその病状について引継ぎ等をしなかったことは,専ら被告の不備というべきである。

 そして,被告は,均の申告を受け,保健指導員に問合わせをするなどして,従前の疾患や治療の経過等を一応把握したはずであるのに,L次長が異動後間もない均に対し,C型慢性肝炎の治療としてインターフェロン治療を受けることを非難するような発言をしたことは,同発言自体が直ちに違法であるとはいえないまでも,従業員に対する衛生管理上,不適切な対応であったといわざるを得ない。

ウ その上で,衛生管理担当の次長であるL次長が,平成16年7月21日に均が復職を求めた際の面談時に,不用意に上記の趣旨の発言を繰り返すとともに, 均が長期のインターフェロン治療を予定していることに対して, 治療に専念するため退職することを示唆する発言をしたことは,以上のような経過やDの疾病等をも勘案した場合には,インターフェロン治療を継続中で退院直後の均の不安感を増大させ,精神状態を悪化させるものであって,Dの精神面を含む健康管理上の安全配慮義務に違反するものということができる。

エ 被告は,このような均の状況は,当時被告として知りようがなかった旨主張する。なるほど,均は,平成16年7月5日に不安・抑うつ状態と診断されながらこのことを被告に報告していなかったと認められるから,被告に対し,健康状態に関する適切な情報を与えていなかったものである。

 しかしながら,発生頻度はともかくとして,インターフェロンの副作用としてうつ状態等の精神症状を生じうることは,当時の医学的知見として一般的なものであるということができる。被告においては,均の入院前に保健指導員に相談をしており,当然退院後の対応等についても検討できたはずであるし,少なくとも,衛生管理担当者は,産業医や保健指導員に相談し,場合によっては主治医等に確認するなどして,インターフェロン治療の副作用や予後等を把握した上で,均に対応することは可能であり,かつ必要であったというべきである。

 これらに照らせば,被告は,L次長らの発言や均に対する対応が,インターフェロン治療中の均に対し,うつ状態等の精神症状を発症させる危険性があることについても,予見可能性,予見義務があったということが相当である。

 したがって,被告の上記主張は採用できない。

オ もっとも,前記認定にかかる当時の均の病態,症状等を最大限考慮しても,上記時点の被告において,均が自殺することについてまでは,具体的な予見可能性や予見義務があったと認めることはできない。
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判決文の内容 「争点に対する判断・インターフェロン治療とうつ症状その他の副作用に関する医学的知見につい て」
「争点に対する判断・インターフェロン治療とうつ症状その他の副作用に関する医学的知見につい て」

1,甲42の1ないし3,乙3)によれば,以下の事実が認められる。

(1) インターフェロンは,平成4年にC型慢性肝炎に対する健康保険適応が広がり,急激に使用頻度が増大したが,それに伴い,うつ症状を含む様々な副作用が指摘されるようになっている。 一般的な副作用としては,ほとんどの例で感冒様症状(発熱,悪寒,頭痛筋肉痛,関節痛,全身倦怠感等)があるとされる他,白血球・血小板の減少脱毛,蛋白尿等もみられる。

2) 副作用としてのうつ症状ないし精神症状の発症頻度は,文献によって数値にばらつきがあり,0.1ないし5パーセント程度とされるが,5パーセント以上とする報告もあることを紹介する文献,1ないし2パーセント(うつ病は1パーセント以下)とする文献,また,数パーセントから65パーセントと報告によりさまざまであることを指摘する文献などがある。多くの場合,不眠,焦燥,不安などの前駆症状があり,続いて抑うつ,無気力,自発性低下,興奮,多弁,幻覚,妄想,集中力低下,記憶力減退,不安症状,パニック発作等多彩な精神症状がみられ特徴的な症状としては抑うつ気分焦燥,不安,希死念慮などがあるとされる。

3) うつ病を含めた精神症状の発症時期は,投与開始から2週間ころから数か月後まで様々であるとする文献もあるし,投与開始後1ないし8週の間に発症することが多く,抑うつ気分に関しては,投与開始4週後に明らかとなる例が多いとして,前駆症状である睡眠障害は投与開始2週以内に出現することがほとんどであることを指摘する文献もある。

4) うつ状態は,インターフェロンの中止又は減量で軽快する。しかしながら,インターフェロン中止後もうつ状態が遷延する例が少なからずみられ,高度になると,長期間の向精神病薬投与が必要なこともあるとされている。出現機序について,インターフェロンの薬理作用以外の外的要因によるものも考えなければならないが,臨床的に厳密に区別することは難しく,精神症状に対する要因別分類には限界があるとして,①臨床疾患(精神疾患の既往),②人格障害,③一般身体疾患(インターフェロン治療を受ける患者が有する悪性疾患や肝炎について,経過や検査数値が思わしくないことによる影響 ),④心理的・社会的・環境的問題(患者という立場,家庭の受け入れ,社会的な立場の変化,入院という慣れない環境,経済的な事情等,心理的・社会的・環境的要因が多様に変動することが,多かれ少なかれ抑うつ気分に影響を与えること),⑤機能の全般的評定(患者の心理的・社会的・職業的機能を評価して,治療の計画,効果,転帰の判定に役立てること)など,全体を考慮したうえで,インターフェロン治療患者の抑うつ症状の出現機序を評価することが大切であると指摘する文献もある。
判決文の内容 「主文」
遅くなりましたが、これから何回かに分けて判決文の内容を掲載していきたいと思います。

「主文」
1 被告は、原告大橋錦美に対し、金xxx万円及びこれに対する平成19年8月10日から支払い済みまで年5分の割合による金員を支払え。

2 被告は、原告大橋和正に対し、金xxx万円及びこれに対する平成19年8月10日から支払い済みまで年5分の割合による金員を支払え。

3 被告は、原告大橋和広に対し、金xxx万円及びこれに対する平成19年8月10日から支払い済みまで年5分の割合による金員を支払え。

4 原告らのその余の請求はいずれも棄却する。

5 訴訟費用は、それを15分し、その1を被告の負担とし、その余を原告らの負担とする。

6 この判決は、第1ないし第3項に限り、仮に執行することができる。



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